筆記具界隈も2022年は値上がりラッシュの年となりました。特に万年筆では、14金・18金などのいわゆる金ペンの価格高騰が続いています。今後は比較的安価で選べるステンレスペン先への注目がさらに高まっていきそうな気配です。

その筆頭に挙げたい万年筆がPILOT「カスタムNS(¥11000)」です。発売当初から「ステンレスペン先なのに¥10000以上…？」と懐疑的な意見が聞こえることもしばしばありましたが……しかしその実態は素晴らしく高精度で優秀な万年筆。ついにその真価がスポットを浴びることになるかしらん…などと個人的に期待しております。

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豊富なカラー展開。なかでも人気はライトブルーとアイボリー。

カスタムNSの良いところは、同メーカーの¥22000本格派万年筆「カスタム742」と同等の太軸でありながら、スタンダード14金万年筆「カスタム74」とおなじやや小ぶりのペン先を搭載していることによる「筆記線のコントロールのしやすさ」です。

特に万年筆に不慣れな方にはコントロールしやすい仕様かと思います。

ぷっくらと丸みを帯びた軸で、伝統的でありながらカジュアルな雰囲気も帯びています

「カスタム74」とペン先の長さはおなじでも、実は形状が違っています。ペン先先端へ向かうにつれて細くなっていく角度が、「カスタムNS」の方がより鋭角になっています。これにより紙とペン先との擦れが敏感に手に伝わり、しっかりとした筆記感が味わえます。サラサラとした万年筆ならではのなめらかさがありつつ、シャープペンやボールペンのようにペン先の感覚が伝わってくる……といったペン先です。

¥10000代の新たなスタンダードとなるか…

高精度のペン先に加えて、本格派万年筆顔負けの太軸仕様。手が小さい方は胴軸のみで、手が大きい方はキャップを付けて筆記すれば、指に余計な力が入らず筆記ができるバランスとなっています。この価格帯でこのクラスの太軸はなかなか無いので、カスタムNSの大きな強みですね。

字幅もEF極細・F細字・M中字・B太字から選べます

字幅も4種類の展開があり、ご用途に応じたチョイスが可能です。国産万年筆のステンレスペン先に¥10000……という形はまだまだ抵抗のある方も多いかもしれませんが、「カスタムNS」にしかない独特の筆記バランスはぜひ一度体験してみてもらいたいなと思っております。NSがんばって。