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オリジナルペンケース「ペンハイム」完売に際して

昨年冬に発売させていただいた【国立商店×当店オリジナルペンケース「ペンハイム」「ペンハイム・グランツ」】が6月をもってすべて完売となりました。
ご購入いただけた方、ご検討いただけた方、SNSやウェブサイトからご反応いただけた方、ご意見・ご感想をいただけた方、皆さまにあらためて深い感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
雑感で恐縮ですがこの企画に関して以下にまとめました。ご興味のある方はお目通しいただければ幸いです。
制作の振り返り①/国立商店さんとの企画
お客様として当店をご利用いただいていた国立商店さんから「なにか一緒にできると楽しそうですね」とお話をいただけたのがこの企画のきっかけでした。本格的に制作の話が出たのは2023年10月ごろです。
革の説明からサンプルの用意、仕様に関する意見交換などなど、常に丁寧にご対応してくださいました。つい脱線して文具話で盛り上がることも多々ありました。お互いのお店を行き来してやりとりしていた日々が懐かしいです。
納品していただいた後もいろいろとフォローしていただけて、深く感謝しております。
制作の振り返り②/ペンケースにした経緯
ペンケースを企画した理由は主に2つありました。1つには、すでに万年筆や高級筆記をお選びいただいたお客様にも喜んでもらえるモノであること。2つには、革小物を取り扱う国立商店さんの強みを発揮できるモノであることです。
ではどういうペンケースにしようか…となったわけですが、「ブラック×ゴールド配色とグレージュ×ゴールド配色の高級感あるペンケース」という形に割とすぐ決まりました。いずれの配色も革物ペンケースでは展開が少ない印象で、僕たち自身が欲しいものでもあったからです。
特にブラック×ゴールドは「高級筆記ではよく見かけるのにペンケースでは意外と無いよね」という話を国立商店さんと企画以前からしていて、作ってみたいと強く考えていました。
形からではなく配色から決まってスタートするペンケース…というのも、いま思えば珍しかったのかもしれません。
制作の振り返り③/仕様について
ブラック×ゴールドは高級感を全面に押し出した雰囲気に、グレージュ×ゴールドは高級感を残しつつもすこしカジュアルで愛嬌のある雰囲気にしていくことが決まります。
ペンケースの形状は、高級筆記の収納がしやすいことに加えて、学生様に使っていただくことも想定して大容量が望ましいと話し合いました。そのなかで、コスト・制作期間も考慮し、すでに国立商店さんが展開していた「ダブルファスナーペンケース」をベースにして、素材やディティールのところで違いを出していってはどうかという結論にいたりました。
ブラック×ゴールドはきめ細かなシボ感で上品な手触りと光沢を持ったワープロラックスを外装に、ペン差しポケットの内装にはピッグスエードを採用したオールレザー仕様に決定。グレージュ×ゴールドは大きめシボの国産本革を外装に、耐久性に優れていて適度にカジュアルダウンしてくれる国産帆布生地を内装に採用しました。
また、デザインがカッチリとし過ぎないよう、「外し」または「ワンポイント」として本革ストラップを外装に付けることを希望しました。この仕様については僕の強い要望が反映された形です。
制作の振り返り④/商品名について
商品広報のうえでできる限り印象に残るよう、意味よりも覚えやすいキャッチーな語感を重視して「ペンハイム」、高級モデルには「ペンハイム・グランツ」という商品名を冠しました。
余談も余談ですが、僕はTVゲームをプレイする影響で、なにかに名前を付ける作業というのがわりかし好きな方です。この商品名を考えるのには時間もかかりましたが、それも含めて楽しめました。
いちおう意味合いとしては[ペンの家]みたいなニュアンスで考えてみました。ただ、「英語とドイツ語が混ざっていてすこし変ですね」とお客様にご指摘いただくこともあり、まったくもってその通りでした(笑)。
しかしながら、印象に残す…という点においてはそうした違和感もむしろ効果的な面もあったかもしれない、などと前向きに捉えております。
お客様のお声①/配色について
「ペンハイム・グランツ」=ブラック×ゴールドの配色は期待どおり大好評をいただけました。オールレザー仕様と相性抜群のカラーリングで、「ペンハイム」よりも高額ながらも先んじて完売となりました。
「ペンハイム」=グレージュ×ゴールドの方もご好評いただけました。「可愛い」と「格好良い」両方のご感想をいただけたことが非常に嬉しかったです。とはいえブラックゴールドの人気が凄まじく、あらためて王道カラーの強さを感じました。
いずれのモデルにも搭載した本革ストラップについてはあまり言及される機会がありませんでした。「デザインのアクセントとして絶対に付けたい!と国立商店さんにお願いして付けていただいたのですが、デザインとしての機能は良くも悪くも目立たなかったのかなと受け止めております。
お客様のお声②/ペン差しポケットについて
ペンの抜き差しにおいては帆布生地の「ペンハイム」の方が平滑性に優れており、抜き差ししやすいと好評でした。特に太めのペンを収納する場合にはその特徴がより発揮されていました。
ピッグスエード生地の「ペンハイム・グランツ」はグリップ力が帆布生地より強いため、革が馴染むまでは軸径によってはすこしキツめの感覚となり、収納できる軸径にわずかですが差が生まれました。
その点、「ペンハイム・グランツ」のみペン差しポケットのサイズをすこし大きく変えてみても面白かったのかもしれません。極太軸・長軸を収納したい…というお声も数件いただいたので、ペン差しポケットのサイズについては今後も検討の余地がありそうです。
もう一つご要望として多かったのが、「フラップ(ペン差しポケットに被せる蓋生地のようなもの)を付けてほしい」というもの。クリップ同士の接触やペンの抜け落ちを確実に防ぐうえで、付いていれば尚よかった…とのことでした。
たしかに、ペンを保護するうえでは間違いなくプラスになる仕様です。ペンケースがよりぶ厚くなってしまう点をどう巧くカバーできるか…もしまた制作できるような機会があったときにはなにか方法を検討してみたいと思います。
お客様のお声③/ファスナーポケットについて
2つのファスナーポケットについては「想像よりたくさん入った」と好評で、15㎝定規も収納できるのが嬉しいというお声も学生様からいただけました。メモ帳やガジェットを入れている、という方もいらっしゃいました。
よりコンパクトなタイプもあったら面白いのかなあ…などと考えたときもありましたが、「こんなに大きいサイズでなくていいよ」というようなお声は無かったので、サイズ感的には問題は無かったのかなと受け止めています。
最後に/
今回の企画を通して、あらためて多くの方々に支えられているのだと実感いたしました。繰り返しになりますが、感謝の気持ちでいっぱいです。
部材高騰の影響もあり、次回作や後継品の見通しは立っておりませんが、またなにかしらの形でオリジナル商品の企画ができたらいいなと考えております。
支えてくださるお客様のご厚意に甘んじることなく、それに具体的に報いることができるよう、今回の経験を今後の運営に活かしていく所存です。
今後ともよろしくお願いいたします。