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万年筆用の顔料系インクって…?PILOT「TSUWAIRO」が好評。
PILOT(パイロット)から先月ついに登場した万年筆用顔料インク「TSUWAIRO(ツワイロ)」が売れております!通常のブラック・ブルーブラック・ブルーよりも暗めの色合いになっていて、これがまた好評です。インクサンプル&色見本もご用意しておりますので、気になった方はお気軽にお申し付けくださいー。
…さて、ところで顔料インクって…?
万年筆用インクというのは水性インクになっています。水性インクにはおおまかに2種類あって、水性染料と水性顔料に分かれます。水性染料は一般的にイメージされる水性インクで、水に触れると滲んだり色が流れてしまう性質を持っています。光焼けにも弱いです。その代わりに発色が良く、色数も豊富に作れ、書き味もサラサラとしてなめらかなのです。万年筆用インクのほとんどがこの水性染料に該当します。
対して水性顔料インクというのは、「乾けば」水に強くなる耐水性インクになります。水性染料ほどではないにしろ油性に比べれば発色も良く、書き味もなめらかです。光焼けにも強く、筆記時の裏写りやにじみに関しても起きにくくなっています。つまりお仕事や長期保存、公文書などのシーンに非常に適したインクなのです。
ちなみにボールペンで言うと、PILOT「ジュースアップ」やZ◯B◯A「サ◯サクリッ◯」や三◯鉛◯「シグ◯」など、現在人気のある水性ボールペンのほとんどはこの水性顔料インクを採用しています。
奥が水性染料PILOTブルー、手前が水性顔料PILOTツワイロブルー
完全無欠に思える水性顔料ですがしかし、万年筆用の水性顔料インク…となると、ひとつ大きな弱点があります。それは「ドライアップ(ペン先の乾き)を起こしてしまうと水で落とせなくなる」ということです。通常、万年筆はペン先を水に浸ければインクが落とせるのですが、水性顔料は耐水性であるがゆえにそれが不可能なのです。
また、水性染料に比べて水性顔料は粒子が荒いため、水性染料を使っていたときよりもインクフロー(インク出)がやや渋くなり、字が細くなることも間々あります。加えて、ほかの性質のインクと混ざると激しめの化学反応を起こす可能性があるので、インクの入替は基本的に推奨していません。
◎水性顔料の強み◎
・耐水性&耐光性に優れる
・にじみや裏写りもしにくい
◉水性顔料の弱み◉
・インクフローが渋くなる可能性がある
・洗浄メンテナンスが出来なくなる可能性がある
・インク入替に小さくないリスクが生じる
まとめるとこんな感じでしょうか。万年筆用の水性顔料インクは、お仕事で使うなどのヘビーユースの方には最適なインクですが、色を愉しむことが目的の方にはリスクが高いインクですね。
しかしながらさすがPILOTさん、TSUWAIROとほぼ同時に「顔料インクにも対応した洗浄液」を発売してくれています。万が一ドライアップさせてしまっても一つ安心できるアイテムがある…というのがTSWAIRO好調の一要因になっているのかなーと思います。
PILOT「万年筆クリーニングセット(¥880)」(*)
掻い摘んでお話した部分もありますのでご参考までに。
①暗めの落ち着いた色み・②耐水性&耐光性◎・③にじみ&裏写りしにくい・④リスクへの対処アイテムがある……名前のとおりいろいろな強みを持ったインク「TSUWAIRO」、その勢いは増すばかりです。
*あくまでPILOT製品に対するクリーナーキットになります。また、長期間放置してしまった顔料などは完全に落とし切れない可能性があること、PILOT製品のなかでも蒔絵・漆製品・プランジャー式・スクリュー式には使用を薦めていないこと、以上2点をご注意くださいませ。