Item・Service

LEONARDO(レオナルド)=イタリア
オフィーチ・イタリアーナ「モーメント・ゼロ “ハワイブルー”」¥63800込
ハワイの澄んだ海や豊かな自然が不規則なストライプで表現されたイタリアレジン軸の大型14金万年筆です。重層的かつ鮮やかな色彩を放つレジン軸は実に表情豊かで、幾ら見ていても飽きがこないほどの世界観がこの1本の軸に広がっています。
クリップパーツはシルバートリムを採用。首軸・胴軸・尾栓それぞれの継ぎ目にリングが施され、キャップには一際目を惹く3連リングが輝きます。シルエットはベスト型に近いですが、頭冠・尾栓がそれぞれ円錐形になった独自の形状をしています。
尾栓にはさらにもう一工夫が。ネジ嵌合式で取り外しができるようになっていて、そこからコンバーターの吸入作業が可能となっています。ただ、この方法でで吸入するとインクがどれだけ入ったかの視認ができないため実用性には乏しいかと思います。ちょっとした遊び心のある面白いギミックです。
本体仕様はカートリッジ・コンバーター両用式で、コンバーター付属となっています。キャップもネジ嵌合式になっているので乾きにも強いです。極太軸ですが軽量で、手が小さめの方でもフィットしやすい良質なバランスです。手が大きめの方はキャップをポストして書くとより安定感を感じるかもしれません。
ペン先は大型14金ニブで、ほんのりとしなりが感じられます。字幅ですが、M中字仕様でも国産のFM中細〜M中字相当で、舶来品のなかではかなり細い部類に入ります。F細字ですとサリサリとした筆感で、国産万年筆ばりに細い線が書けます。僕個人のおすすめはM中字です。メモにもノートにも便箋にも、どのシーンでも使いやすい汎用性の高い絶妙な字幅でサラサラとなめらかな書き心地を愉しむことができます。
高額ですが、それに見合うだけのデザイン性と実用性を兼ね備えた優秀な万年筆だと思います。購入には至らなくともこの美しい軸デザインは一見の価値アリ、です。実物、ぜひご覧にいらしてみてください。

Kaweco(カヴェコ)=ドイツ
「スプラ ファイヤーブルー」¥27500込
「スペシャル」シャープペンや「スポーツ」シリーズで大人気のKawecoが誇るハイエンドモデル。ステンレス軸をバーナーで1本1本焼き付けて仕上げる唯一無二のカラーを纏った重量級の万年筆です。その重さはなんと49g!PILOTのスタンダード14金万年筆「カスタム74」で17.4gなので、万年筆としては破格の重さになっています。
しかしながら実はこのスプラというモデル、パーツの組み替えが可能です。上記画像はスタンダードスタイルですが、下記画像のようにショートスタイルにもアレンジができます。それに加えてキャップをポストするか否かによっても重心&重さのバランス調整ができるので、意外にも手に合うバランスが見つけやすくなっています。
Kaweco万年筆ではなかなかお目にかかれない大型ペン先を搭載。インクフローもはじめから安定しており、あたりもなめらか。M中字のみの展開ですが、このM中字は国産M中字相当の太すぎない字幅になっているので幅広いシーンで使えそうな塩梅です。切れ味…とも表現したくなるズバズバとした書き心地は、おなじドイツのDIPLOMAT(ディプロマット)「エクセレンスA2」を彷彿とさせます。
カートリッジと並べるとそのあまりの存在感の大きさから合成写真のように見えてしまいます笑)。美しさ・書き味ともに折り紙付ですが、ネックはその値段です。先にご紹介した大型ペン先は実はステンレス製。14金・18金ペン先でなはくスレンレスペン先で¥27500というのは、正直なかなか選ばれにくいのかなと思います。
しかしながら、やはりこの存在感と書き味は唯一無二……刺さる人には奥深く刺さる万年筆であることには間違いありません。なかなか実物を置いてあるお店様も少ないかと思いますので、ぜひ見るだけ試筆だけでもご覧にいらしてみてください。

WATERMAN(ウォーターマン)=フランス
「カレンデラックス」¥55000込
18金万年筆「カレン」のハイクラスモデル。流線型の流麗なシルエットにゴールド&シルバーのバイカラーキャップを組み合わせたエレガントなデザインです。
WATERMANのペンには気品あるデザインのモノが数多くありますが、こちらのモデルの存在感たるやそのなかでも一際輝いています。ほかのメーカー・ブランドを含めても定番品でこれほどエレガントな佇まいのペンというのはなかなか少なく、デザイン性においては万年筆における一つの傑作だと僕は勝手に思っています。カッコいい。
筆記性能については好みが分かれるところです。基本的には胴軸のみでの筆記に適したバランスで、適度かつ快適な重さがあります。キャップをポストすると高重心(尾栓側)になり、重さもよりずっしりとした感触に変わるため手のサイズがある程度大きくないと厳しいバランスになっています。
しかしながらキャップをポストした状態での軸全体の統一感と美しさは筆舌し難いものがあるので、持ち方をこの万年筆に合わせて矯正していくのも大いにアリです。手のサイズにもよりますが、具体的には首軸と胴軸の継ぎ目になっているゴールドリング前後に指を添える持ち方です。5㎜ずつ上下に指をズラしてみて、バランスを探っていきます。普段ペン先に近いところを持つ方には違和感が多分にあるかと思いますが、この軸の美しさを引き出すためにも試みる価値はあります。笑
18金ペン先ですがソリッドな仕上がりでしなりはほどんどありません、しかし、インクフローが安定して潤沢になるとヌラさらっとした独特の書き味になって、インクの感触なのかやわらかさも感じられるようになるという不思議なペン先です。ただ、WATERMAN万年筆全体に言えることですが、インクフローが安定するまでは時間がかかります。それまでは硬さを感じるやや渋めの書き味です。
デザイン性の高さは言うことなし、バランスとペン先のところではクセがある。PARKER「ソネットプレミアム」もそうですが、高価格帯なのに実用面でエッジの効いた特徴があることで、評価・好みがハッキリ分かれるモデルかもしれません。ご興味のある方はぜひ一度試筆をしてみてください。重量バランスのクセを掴み、インクフローが安定したら、この上ない1本となってくれるポテンシャルを持った逸品です。

PARKER=イギリス(アメリカ・フランス)
「ソネットプレミアム」¥38500込(2022/4/1より¥41800に値上がり予定)
ゴールド・シルバーの上品なバイカラーのキャップに細やかな縦横斜めのラインを幾何学的に刻印したメッシュパターンデザインのソネット特別モデル。通常モデルと比較しても気品溢れるデザインで存在感を放っています。
ペン先は18金。しなりはあるのですが、紙と擦れる感じが手に伝わってきやすい筆感やや強めの書き味です。これはなかなか特徴的な書き味で、慣れてくるとどんどんクセになっていく魅力があります。
海外製品万年筆は使いはじめのうちはインクフローが安定しない(しぶい)ことが間々あるのですが、このソネットプレミアムも例に漏れず。インクフローが安定するとかなり潤沢になってズバズバとした書き味に仕上がっていきます。上記したペン先のクセと相俟って、仕上がるともう手放せなくなる書き味です。
ただ、使う上で考慮しなければいけない点が3つあります。キャップを被せての筆記の時は高重心になること、インクフローが安定するまではソリッドな書き味であること、セットしたインクの揮発がやや早いこと。Pelikanスーべレーンや国産万年筆と比べるとより人を選ぶ特徴があるのかな、と僕は思います。しかしながら、この完璧とは至らない部分にあるその手間が愛くるしくなっていくあの感じは、ほかの万年筆ではなかなか味わえない特別な魅力がありますよ。